あべこべジャーナル  ( ニュースチェック)

くらしに根差した言論をグループの協力で発信。ニュース読み解き、メディアチェックや政治経済評論など。あべこべに見たりして自由な角度から書いて行きます。

ツイッターが政治を動かしたのではなく、世論が、ツイッターを利用して、である

mainichi「#検察庁法改正案に抗議します」という1人の投稿(ツイート)が400万以上に広がり、政治を動かした――と言われている。検事総長検事長の定年引き上げを可能にする検察庁法改正案は、今国会での成立が見送られた。

 

安倍晋三首相がツイッターに始まった反対世論の大きさに真っ青になったかどうかはわからないが、官邸を牛耳る知恵者の今井補佐官が撤退を指揮したのだろう。「ネット世論」は底力を発揮した。今後も日本の政治を動かすことを期待しようではありませんか。

 

 興味深いのは、「内閣支持率27%」。5月23日に毎日新聞などが実施した世論調査の結果である。前回調査(5月6日)から13ポイントの大幅ダウン。不支持率も64%(前回45%)に急上昇した。

さらに面白いのは、一人の投稿が広がったすさまじさだ。毎日の記事は、以下のように書いている。

 

 
 

 5月8日、衆院内閣委員会で法案が実質審議入りすると、同日夜「笛美」というアカウント名を持つ東京都内の女性が「#検察庁法改正案に抗議します」という「ハッシュタグ」でツイート(投稿)した。

 「ハッシュタグ」とは、特定の言葉の前に「#」という記号を付けた投稿を指す。同じ趣味の人や関心あるユーザーたちの目に留まりやすくなり、拡散する可能性がある。

 その後、「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグを使った投稿が相次ぎ、俳優の小泉今日子さん、井浦新さん、演出家の宮本亜門さんら、多数の著名人が加わって爆発的に広がった。抗議の投稿は8~10日の3日間で400万件以上になり、「ツイッターデモ」と呼ばれた。

 18日に安倍首相は「国民からさまざまな批判があった。そうした批判にしっかりと応えていくことが大切」と述べ、今国会での成立見送りを表明した。

 政権のネット戦略は、なぜつまずいたのか。

 西田氏は「ツイッターで反対がこれほど盛り上がるのは、官邸は想定外だったのでは」と語る。さらに「新型コロナウイルスの感染拡大で、国民は自粛生活を強いられ、経済的にも苦しい。国民の多くが『首相がこの苦しみを理解していない』と受け止めたのではないか」。不満がくすぶるところへ、政権が検察庁法改正を急ぎ、「多くのユーザーの『脊髄(せきずい)反射的な』拒否反応を誘発した」とみる。

 では安倍首相の支持層はどう動いたのだろうか。ツイートの分析で知られる東京大大学院の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)は今回のツイッターの動向を調査した。

 鳥海氏は「政治的なテーマについて、これまでは政権擁護派と反対派に二極化する傾向がみられたが、今回は擁護派による『検察庁法改正に賛成』のような投稿は大きく拡散されなかった」と話す。改正案は支持層にも評判がよくなかったといえそうだ。【藤沢美由紀】

 

(引用終わり)

 

政治的テーマに無関心と目されてきた人々も今回、意思表示したのはなぜか。コロナで自宅にいて政治関心が高まったとか、いろんな解説があるが、どうもよくわかりませんね。でも、確かなことは、ひとびとが立ち上がってツイッターデモをすれば、政治を変えられるってことをみんなが知ってしまったということ。

 

これは重いよねえ。

 

「今後の選挙行動に影響」「合理性に欠ける主張も」

 「ネット世論」は今後、日本の政治を変えるのだろうか。

 諸外国のデモに詳しい高千穂大の五野井郁夫教授(国際政治学)によると、諸外国では「#」を使った「ハッシュタグアクティビズム」(インターネット上の社会運動)が盛んになってきているという。その上で、「日本でも脱原発や安保法制反対などの際に同様の動きがあったものの、海外に比べれば、政治について語りにくい空気が支配的。だが今回の動きは、国民が声を上げれば与党も無視できなくなり政治が動くというモデルケースになった。日本において、民主主義の新しい回路が開けたと考えていい」と評価する。

 立命館大の富永京子准教授(社会運動論)も「日本では政治的意見を公の場で表明しづらい。また、ツイッターデモは発信者と発言内容が結びつきやすく、個人がバッシングを受けやすいため、参加のハードルもある」と現状に懸念を示す。

 その上で「今回『ハッシュタグをつけて政治に不満を言ってもいいんだ』という共通認識が出来上がった。官邸や議員に意見を送るといったアプローチを呼びかけるケースも出ている。今後の選挙で投票行動に影響するなど、社会を徐々に変えうる可能性がある」と分析している。

 一方、前出の西田氏は爆発的なツイッターの盛り上がりに警戒感を示す。「ツイッターでの盛り上がりは目立つ話題に反応しているにすぎない場合もあり、その主張が正確性や合理性に欠けるケースもある。政権側がネット世論を気にしすぎることにも問題がある」と指摘している。【藤沢美由紀】