朝日新聞社が17、18日に実施した全国世論調査(電話)で、消費税率のあり方については「食料品だけ引き下げ」が最多で33%、「全品目で引き下げ」23%、「いまのまま維持」21%、「消費税廃止」20%と続いた。有権者の4人につき3人が消費減税か消費税廃止を求めているとの結果で、これほど多くの人が消費減税または廃止を求めていることが世論調査で明らかになったのは初めてのことだ。
今夏の参院選で、消費減税を訴える政党や候補者にどの程度、投票したいか尋ねた質問では、投票したいと答えた人は「大いに」と「ある程度」を合わせて68%で、投票したくないとの回答は「あまり」と「まったく」で計28%だった。
政党や政治家が消費減税を訴える際、代わりの財源を示すべきか尋ねたところ、「示すべきだ」が72%で「示す必要はない」の21%を大きく上回った。石破茂内閣の支持率は33%で、4月の30%から微増。不支持率は56%だった。
もっとも、消費減税を求める層や消費減税を訴える政党や候補者に投票したいと答えた層の6割以上、消費税廃止を求める層でも56%が、代替財源の提示を求めており、有権者は野放図な減税にクギを刺しているとみることができる、と朝日は書いている。
消費税のあり方をめぐっては、自民支持層は「維持」がトップの36%で、「食料品だけ引き下げ」が33%。立憲支持層は「食料品だけ引き下げ」が5割を占めた。国民民主支持層は「食料品だけ引き下げ」、「全品目で引き下げ」がともに34%、「廃止」23%だった。公明の支持層では、約半数が「食料品だけ引き下げ」と答えた。
一方、毎日新聞が17、18日の両日実施した全国世論調査では、消費税の減税の望ましいやり方について、「食料品だけ税率を下げる」が33%で最多で、「一律に引き下げる」が25%。「消費税を廃止する」は14%だった。これに対し、「減税しない」は16%にとどまった。7割超が消費税の廃止か減税を求めていることになる。
また、共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査では、消費税に関し「食料品のみ減税するべきだ」「全て減税するべきだ」「廃止するべきだ」との回答が計73.2%に上った。
こうしてみると消費減税を求める世論は圧倒的だ。物価高に苦しむ国民がせめて食料品ぐらいは消費減税をしてほしいと願う姿が浮かび上がる。同時に、社会保障などへの影響を心配して財源を明示するよう求める声も強いことがわかる。参院選での投票行動はこうした要素を加味したものになるだろう。コメの店頭価格が高どまりしているのに政府が有効な手を打っていないことへの不満と重なって、石破政権と自民党にとっては厳しい逆風が吹いているといえよう。マスコミの論調も自民寄りが目立つが、それが妥当かどうかも含めて政策のありようを考え、議論するうえで、これら世論調査を大いに参考にしてほしい。