ボルトンの批判も空しく 米朝は歴史的妥協へ-核の段階的放棄条件に体制保証や制裁緩和か
米国と北朝鮮、とくにトランプと金正恩が急速に接近している。安全保障担当の補佐官ジョン・ボルトンをクビにしたトランプ大統領は、北によるSLBM発射について非難するどころか、「彼らは会いたがっている」と前向きなメッセージを口走った。
要するに、金正恩はSLBMという方法でトランプの意思を確認したわけだ。これぐらいやっても、揺るがない信頼が、というより共通の意思と利害が生まれていることを確っする手段として、SLBMはあったのだ。
安倍首相は「国連決議違反」と述べたが、いつもは「完全な一致」を誇れるはずの頼みのトランプさまは、ジョンウンと意気投合でトホホな展開。ボルトンがいてくれたら…などと嘆いている人も日本には少数ながらいるかもしれないが、現実は彼らを置き去りにして前へと進みつつある。
行き着く先は、米朝首脳会談での歴史的妥協。
トランプが北の体制を保証し、朝鮮戦争にピリオドを打つ。歴史的和解の演出。
前提となるのは、北の段階的非核化。その見返りに経済制裁も一部緩和する…
そんなシナリオが米国で報道されている。
もともとは、「北の核凍結」案として、トランプ政権内に出て来たものだが、これを認めたがるトランプをボルトンが牽制し、ハノイの首脳会談を決裂させた。その仕切り直しをしようとして、うるさいボルトンをクビにしたトランプは、金正恩とふたたびダンスを踊るべく、準備に入ったというわけだ。
ボルトンは、吠え続けている。「北が核を自発的に放棄するなんて、ありえなーい」(そりゃそうだ。あたりまえ体操)「北がICBM実験をしなくなったのは、完成させたからだぁ」(ほんとかね?)「チキンホーク」などとも言われることがあるネオコンのボルトンだが、もともと大統領選出馬の野望をのぞかせたこともあっただけに、仲間と組んでトランプのディールをとことん邪魔しようとするに違いない。
さて、歴史はどううごくのだろう。