武漢加油!の掛け声に思い出す、カミュの『ペスト』…そう、これは私たちの闘いだ!
TBS報道特集は、武漢の医師や看護師の活動を支えるボランティアや、少しだけ落ち着きを取り戻しつつある市民の映像を流していた。あるいはこれは中国当局のPR作戦の一部かとも疑いつつ、しかし悲壮な医療活動や市民の取り組みにある種の感動を覚えた。
その感覚が私に思い出させるものがあった。アルベール・カミュの不条理小説『ペスト』である。かつて『シーシュポスの神話』などともに、不条理を知りつつ懸命に生きることの意味や価値を考えた世代があった。時代があったというべきか。
いや、今もそうなのだ。遅きに失した対策、行政を司る共産党官僚の無能な連中(湖北省でマスク108億生産と会見でほらを吹き、じきに108万枚と訂正するお粗末な省長らの映像が流れた)。そういう悪条件、不条理の下でも治療に献身する人々…。その姿が胸を打つ。
たたかいの行方は定かでないが、しかし、意味がある。たたかうしかない。それゆえに響く「武漢、加油!」なら、世界の人民はいまこそ連帯の行動を起こそうではないか。それは、否すでにこれは、私たち自身の戦いではないか。