マスクは役に立つの?立たないの?論争
マスクでは不十分、といったWHOの幹部ブリアン氏の発言の真意を巡ってさまざまな議論がある。「マスクに意味はない」のか、「マスク不要」なのか、それとも「マスク有用」だが「限界がある」のか?正確な発信と報道が問われるときに、なんだか残念な展開である。
毎日新聞は「必ずしも役予防にはならない」という微妙な表現で幹部発言を伝えている。だがその見出しは「マスクは予防にならない」という断定調だ。
記事内容は以下の通り。
世界保健機関(WHO)の担当者は4日、新型コロナウイルスについて「必ずしもマスク着用は感染予防にはならない」と述べた。手洗いの方が効果的だという。一方、ウイルスに感染した人は、流行を広げないためにマスクをすべきだと指摘した。
専門家の間では、家族が看病する場合など、近くで症状がある人の飛沫(ひまつ)を浴びる可能性がある場合には、マスクも一定の効果があると考えられている。しかし野外などでは、マスクでは十分には予防できないとの意見が一般的だ。
記者会見したWHOのグローバル危機準備担当局長シルビー・ブリアン医師は、新型コロナウイルスを巡っては、警戒レベルが最高度の世界的大流行を意味する「パンデミック」ではなく、根拠のない情報が大量に拡散する「インフォデミック」が起きていると指摘。WHOは科学的に根拠のある情報を発信し、運航中止が相次ぐ中国便の再開などを働きかけていくと述べた。【パリ久野華代】
…というものだが、わかりにくいし不親切。飛沫感染の場合には一定の効果があると考えられていることと、野外では予防できないということとの関連がよくわからない。ブリアン氏が「必ずしも」というその内容すらあいまいでは、話にならない。まあ、言った人があいまいな言い方をしたのだろうが、その場の記者はたんに御用聞きみたいに聞いているだけで、疑問点など質さないのだろうか。また、そうであるにしても、毎日新聞ともあろうものが、こんなあいまいな原稿を載せていいものか?残念至極である。
ロイター電は、もう少し正確というか発言内容をなるべく正確に伝えようという意図が感じられる、丁寧な書き方だ。
「以下にブリアン氏の発言要旨をまとめた」として、発言内容を以下のようにまとめている。
WHO 国際的な感染症対策担当 シルビー・ブリアン氏
「現状ではパンデミック(世界的流行)には当たらない。複数の地域で感染拡大が起きている段階で、これら地域での鎮静化に努めている。
ウイルスの感染を止めるために私は、患者がマスクをすることがとても大切だと思う。症状がない人にとってマスクは必ずしも100%の予防にはならない。ほかにも対策を講じないと十分とは言えないからだ。
私がお伝えしたいのは、マスクだけでは対策が十分ではないということだ。一連の対策をすべて講じていれば問題ないが、マスクだけでは不十分だ。
感染拡大するにつれウイルスが変異しているとの情報もあるが、これまでのところ極端に変異したことを示す証拠はない。」
…というわけだから、100%の予防にならないという当たり前のことを言っているにすぎない。
つまり、空気中のウィルスはマスクを通り抜けてしまうし、そもそもマスクは隙間だらけだから、100%ブロックはもともと無理。
それでも、咳やくしゃみなどによる飛沫感染は防げるから、無意味ではないどころか意味はある。満員電車で息がかかるような場合にも、ないよりまし。しかも、指で口や鼻を触らないという効果もある。保温でウィルスの活動を抑える効果もありうる。
だから、マスクに頼りすぎず、接触感染防止のために手洗いやうがいを励行することが肝心であるが、だからといってマスクが要らないというのか極論でしょうに。